神戸市北区に続き、西部のニュータウン開発が進んだ。須磨に大丸ができて、地元の人は主に自家用車で買い物に行った。贈答品は、やはりデパートの包装紙でなければ、という時代。一番近いデパートは、須磨大丸店。吉兆庵の「陸乃宝珠」をいただいた。高級マスカット、マスカットオブアレキサンドリアを一粒ずつ求肥で包んだ高級品。岡山の和菓子屋さんだった。ともかく美味しい。県外の友人を訪問する際の手土産にふさわしい、と思った。須磨大丸店に買いに行ったら、数に限りがあるし新鮮なマスカットなので、予約して、出かける前日に受け取りに行くことが望ましい。友人は、自家製の白磁のコンポートに、包装紙を外した陸乃宝珠を綺麗に円形に並べて、出してくれた。器とお菓子のコーディネイトを、即座に思い付く。その後、あちこちで支店を見かけるようになった。本社は東京?これは出世?大丸須磨店オープンの十年後、そごう西神店がオープン。いつの間にか、ここにも吉兆庵がお店を出していた。大きな菓子折に限らず、お客様が見えるとき、お茶うけに、小さな袋のお菓子を二粒、銘々皿にのせて、お出しする、そんな使われ方もしている。