かつて尾張藩御文庫の蔵書だったものが中核になっています。家康の死後、息子の義直に譲られた駿府御譲本約三千冊が元になり、歴代の藩主によって更に蔵書が加えられ、現在では約十一万点もの蔵書があります。戦前は東京にありましたが、戦後に再び地元名古屋に戻され、現在は徳川家からの寄付により名古屋市の管轄になっています。そして閲覧室では『金城温古録』や『鸚鵡籠中記』といった古典を紙焼き本で見ることができます。エントランスホールでは「デジタル御文庫」と銘打たれたビデオで蓬左文庫の名品を紹介しています。番組は全部で13あり、全てを見ると90分ほどかかってしまいますが、「駿河御譲本(徳川家康の蔵書)」や「蓬左文庫の歴史」など興味深い内容のものが多くあるので、時間のある方には是非見ていただきたいと思います。また蓬左文庫では紙の書籍だけでなく、デジタル版名古屋叢書の製作販売も行っています。その第一弾は『金城温古録』です。そして第二弾は『鸚鵡籠中記』が予定されているそうです。こちらも楽しみですね。
徳川美術館には5回ほど行っていますが、今回初めて入館しました。蓬左文庫を知っているつもりでしたが、美術館内の部屋のひとつ……いち施設……と思い込んでいたのが大きな間違いで、いつも見ていた蔵のような建物がそれでした。中は いわゆる図書室でしたが、古文書や古地図など珍しい書物がたくさんあり、また時間を見付けて行ってみたいと思いました。ちなみに、入館や利用は無料とのことです。
入ってすぐは、説明や代表的な展示されている昔の書庫、奥に図書館のような閲覧室があります。尾張藩初代藩主徳川義直が父、家康の蔵書「駿河御譲本」約3000点を中心に創設した尾張藩御文庫の蔵書を受け継ぐとのこと。
名古屋市博物館の分館で、展示室は徳川美術館とつながっています。徳川美術館の料金を払えば合わせて見ることができますが、大きな企画展以外の時には蓬左文庫展示室だけ料金を払って見ることもできます。また、尾張徳川家旧蔵書や郷土の歴史、美術、文学を中心とした本の閲覧室もあります。こちらは無料で利用できます。(以前、蓬左文庫につけられていたスポット情報がショップ葵に置き換わってしまったのですが、まったく別の施設です。)
尾張徳川初代藩主徳川義直が徳川家康より蔵書を相続したことから、文書の収集が始まり、それが契機でこの文庫が設立されました。蓬左とは名古屋のことを指します。
蓬左は名古屋の古名。