諏訪原城の台地側前面に方形に突出した曲輪が大手曲輪で、その位置や構造から、城の最終段階に付設されたと考えられる。大手曲輪は、大手北外堀と大手南外堀によってコの字型に囲まれ、古絵図では、西側前面に巨大な丸馬出と三日月堀が描かれている。この三日月堀の一部が、発掘調査で確認され、その存在が証明された。現在、大手南外堀の大半は茶園となり、全容を見ることは出来ない。平成24年度の発掘調査で、大手南外堀と東に位置する大手馬出三日月堀との間に約4mの空間を確認した。大手曲輪出入口と推定されるが、城門等の構造物を確認するに至らなかった。大手南外堀は、幅約5m、深さ3.3m(城外側)、断面がVの字となる薬研堀で、城内側、城外側共に土塁の痕跡は認められなかったため、塀や柵が廻っていたと思われる。